食道ガンA

早期発見に定期検診を

 食道の病気は、はっきり症状の出るものが多くありません。そのなかで食道ガンはもっとも重要な病気ですが、ほとんどが外来に来院する時期には、すでに相当進行している型のものが多いのです。
 食道ガンは食道の内側の粘膜に発生し、だんだんと外側を侵していきます。ガンが少しでも大きくなると周囲の気道、血管神経などを圧迫し、さらに隣り合わせの臓器に浸潤していく(侵して広がる)ものです。ガンが食道粘膜にとどまっている粘膜ガンは100%に近い治癒が可能ですが、進行すると予後が不良となります。いずれにしても早期の発見が治癒率を高めますので、まずは1年に1度は必ず定期検診を受けること、症状を自分で発見することが重要です

食道ガンの自覚症状は?


 比較的初期の段階では、食べ物を飲み込むときに、のどの奥あるいは、胸部の中央(肋骨の後ろ)で、つかえるような感じがすることがあります。しかし早期ガンでは無症状のことが多くなります。また清涼飲料水を飲んだときにしみるような感じがすることがあります。そのほか胸焼け、上腹部の痛みや不快感がでることもあります。ガンが進行した時期では、食道が狭窄する(せまくなる)ために通常の硬さのある食物は、ほとんど飲み込めなくなり、液体でもかなり飲み込みにくくなります。その狭窄のために吐き気がしたり嘔吐(吐き出)したりします。食道ガンは大きくなると周辺の臓器に進展しやすいのも特徴であり、さまざまな症状が出る可能性があります。

食道ガン発見のための検査


 
バリウムを飲んでの食道造影検査、内視鏡検査などを用います。 食道の早期ガンの診断には内視鏡検査が重要な役割を果たしており、食道造影検査では診断が困難な場合があります。
 内視鏡検査では、ルゴール液と呼ばれる色素を散布し、食道粘膜を染色します。
 このルゴール液では正常の食道粘膜は黒い色に染まるのですが、ガンの存在する部位は染色されないままに残るため、かなり小さな早期の病変も診断が可能です。さらに内視鏡の先端から鉗子を出して粘膜を採取(生検)して顕微鏡で観察を行い、最終的な診断を行います。

食道ガン治療の革命
内視鏡的粘膜切除術


 
食道ガン治療の最近のトピックスは、早期の食道ガンに対する治療で、内視鏡的粘膜切除術が開発されたことです。ガンが食道の粘膜内にとどまる、いわゆる早期の食道ガン(粘膜ガン)は、ガン病変のみを内視鏡を使って切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)により、手術を行わなくても十分に治癒が期待でき、現在、早期食道ガンの治療の主流となっています。
 これにより食道の粘膜ガンの患者さんは、従来行われていた食道をほとんど切除する大きな手術を受けることなく、自分の食道が温存されるので、完全な社会復帰を短期間で果たすことができるようになり、大きな福音となっています。
  一方、食道ガンが粘膜を越え、さらに深く浸潤したガンに対しても、外科的切除術を中心として、その進行度に合わせて放射線治療法、抗ガン剤による化学療法が組み合わされるようになり、その治療成績も良好になっています。

食道ガンの予防法


 食道ガンの患者さんは、ほとんど例外なく煙草やお酒を多く飲む人です。これらが食道ガン発生の大きな原因と考えられています。それを踏まえて、できれば禁酒、禁煙、それが無理なら飲酒量や喫煙量を減らすようにします。
 また以前に喉頭ガン、咽頭ガン、舌ガンなどの頭頸部のガンの治療を受けたことのある患者さんや、食道アカラシア、食道粘膜の一部に胃粘膜と同じような円柱上皮がみられるバレット食道などの食道の病気を持った患者さんに食道ガンが発生しやすいということがわかっています。ですから、このような方は定期的にルゴール染色を用いた内視鏡検査を受けて、内視鏡的粘膜切除術で治癒が可能な食道の粘膜ガンのうちに発見し治癒することが大切です。


けんこうさろん 南関東版No,3より